きのこ狩り ストーリー
森へきのこ狩りにやってきた三姉妹。
末娘のミルが見つけた歩くきのこのあとを追いかけて行くと・・・
ミルの悲鳴が竪穴の中に反響する。
しかし、それも暗い闇の底へと彼女の小さい体と共に消えていった・・・
「ねぇ、お姉ちゃん達、早くぅ~。もう!・・一人で先行っちゃうよぉ!!」
そう言いながら我慢出来ずにミルは既に走り出していた。「もう・・・ミルったら・・・慌てなくてもきのこは逃げやしないわよ」
おっとりした上の姉が、急に駆け出すミルを転びやしないかと心配して、柄にもなく少し慌てたように手を伸ばす。
「イイってお姉ちゃん。欲張りミルに私達の分も採ってもらおうよ」
少し呆れ気味にニヤニヤしながら下の姉がそう言う。
「イーだ!サラの意地悪!!アルマ姉ちゃんにしかあげないよーだ!」
「きっ・のこっ・さん~♪ きっ・のこっ・さん~♪ 美味しいシチューになっちゃうよ~♪」
姉さん達を後ろに残し、ミルは一人で楽しそうに変な歌を歌いながら森へ入って行く。
「フンフフンフ~ン♪」
ミルが採ったきのこを楽しそうに篭へせっせと入れていると、視界の端を何かが通り過ぎて行ったように感じた・・・
「えっ?!・・・何?きのこ!!?・・・歩いてる」
ミルに見つかったきのこは、慌てて逃げ回ると藪の中へと逃げ込んだ。
捕まえたと思った瞬間、きのこが宙へ飛んだ!
そして、そのままグングン空へ昇って行く!・・・
違う!・・・ミルの身体が落下しているのだった。
突然足元に開いた暗闇へ悲鳴を上げながらミルは吸い込まれていった。
「う~ん!・・お姉ちゃん一杯採れたねきのこ。そろそろ一休みしようよ」
「フー、ホントね。汗かいちゃったわ。そろそろ一息ついても良い頃ね」
「ねぇ、お姉ちゃん。こりゃ多分ミルより一杯採ったんじゃない?」
「ちょっと、そう言えばミルの姿が見えないわよ・・・サラあなた見てなかったの?」
「えーー・・・知らないよそんなの。本当に世話の焼ける・・・」
暗い洞窟に恐る恐る入って行くミル。
奥の方にはぼんやりと淡い青い光が見える。
恐ろしい暗闇の中で見つけた微かな希望に少し表情を明るくして、急いで光の元へ駆け寄っていく。
そこは行き止まりだったが、壁一面に光る何かがビッシリと覆っていた。
ミルはそれに恐る恐る触り、一つまみ掌に採って眺めてみた。
「光る苔?」
そう呟きながら次第にせわしなく辺りに手を伸ばし、掌一杯に摘み採っていく。
そうやって集めたものを広げて改めて繁々と眺めていると、蛍のような不思議な光にウットリと魅せられていく・・・
ミルが洞窟の奥へ進んで行くと、掌の中の淡い光が恐ろしい闇をほんの少しだけ幻想的な空間に変えていく。
少し気分が楽になったミルはさっきよりも軽くなった足取りで、出口を求めて先へ歩を進める。
しかし、何歩も歩かない内にその歩みは小さな悲鳴と共にピタリと止まってしまった。
「うひぃ!・・な、何コレ?!・・・」
ミルの足下を照らす淡い光から逃れるように、無数のうねる青白い物体が、洞窟の奥の闇を目指して一斉に這いずって行く。
その物体は壁に這い上がると、無数に空いた窪みや裂け目の奥へ滑り込んで行った。
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